いまの気持ち、みらいの気持ち:
自分の気持ちの変化をアニメーションで表現する
概略
- 本ワークの対象:アニメ制作未経験者・初心者向けです。
- 目的:初歩的な物語つくりとコマ撮り撮影の練習をして、学習者が授業や課外活動、社会活動等でアニメーテッドラーニングを使えるようにします。
- 活動の流れ:「いまの気持ちから、みらいの気持ちへの変化」を物語に見立てて、アニメにします。
- 1.顔の表情を描いたカード(「おにぎり顔」(c) スリーエイブル教育スタイル研究所)から、学習者が「いまの気持ちを表す顔」を1つ選びます(顔A)。
- 2.「〇〇する/△△が起こる」という外部からの干渉・行動を、ファシリテーターが示します。
- 3. 学習者は、干渉・行動後の「みらいの気持ち」を想像して、顔の表情を描いたカード(「おにぎり顔」(c) ACT8)を1つ選びます(顔B)。
- 4. 顔A→干渉・行動「〇〇する/△△が起こる」→顔Bへの変化をアニメにします
- 撮影の練習:カメラ(スマホ、タブレット等)は水平に設置して上(あるいは、斜め上)から撮影します。
- 個人活動と全体発表:作業は個人です。撮影機材をシェアしなければならない場合はコマ撮りはチーム(2、3人の小さなグループ)でおこないます。完成したアニメは全員やチームで見て、ふりかえりをします。
- 学習者の対象年齢:小学1年生(7歳)以上。
- ワークの時間:
達成目標
- ひとりで、数秒~数十秒の短いアニメをつくる。
- 気持ちの変化の物語とアニメ(視覚表現):
- 気持ちの変化を物語に見立て、「起承転結」すなわち時間の経過<始まり、展開、結末>を意識する。
- 「いまの気持ち」と「みらいの気持ち」の変化をアニメで表現する。
- 学習者が役者と監督の二役を担う:
- キャラクターは”学習者の分身”として主人公、脇役や舞台回し(進行役)となる。キャラクターを通じて学習者は主観的に物語/アニメ(課題)を捉える。
- 撮影は、学習者が監督として、客観的に物語(課題)を俯瞰し、アニメを捉える。
- コマ撮り:カメラ横置き、上から撮影(あるいは、斜め上からの撮影)
道具を準備する<準備するもの>
- カメラと撮影台
- 「おにぎり顔」カード(学習者の人数分。カードがなければ、おにぎり顔の切り絵を本サイトからダウンロードして用いる)。
- 白い紙
- 筆記具、文房具
- 外部からの干渉・行動を表す、補助キャラクター:時間節約のために事前に準備する。※□、△、〇などの単純な形状の紙。あるいは関連するイラスト、写真などの切り抜き。
- AV機器(モニターと音響機器):スマホ、タブレットあるいはパソコンをモニターに接続し、本サイトからアニメをダウンロードして見る、あるいはストリーミングしながら見る
ワークの手順
- ① 起句となる顔(キャラクター)を決める:学習者が自分の「いまの気持ち」を表す「おにぎり顔」を1つを選ぶ(顔A)
- ②承句、転句となる外部からの干渉・行動:ファシリテーターが「〇〇する/△△が起こる」という外部からの干渉・行動を示す
- 例:A)空から〇〇が落ちてくる、B)歩いていたら吠える犬に出くわす、C) 歩いている道が途切れて崖から落ちる、など学習者が想像でき、1行で表せるシンプルな課題を出す。
- 回を増すごとに、テーマを複雑にしてもよい。学習者がそれぞれ考えてもよい。
- 本練習ワークでは「道を歩いていたら、犬に吠えられる」という課題にします。
- ③結句となる顔を選ぶ
- ②の干渉・行動を聞いて、学習者は自分の「みらいの気持ち」を想像して、「おにぎり顔」を1つを選ぶ(顔B)。①で選んだ顔Aと同じでも構わない。
- ④物語を考える(起承転結)
- 白い紙の上で、おにぎり顔A(基点)が②の干渉・行動を経て、顔B(終点)となる変化、つまり短い物語を、”動き”で表す。
- 外部からの干渉・行動を表現するのに必要ならば、補助キャラクターを登場させる。
- 背景はつくらない。
- ⑤撮影する
- ④で考えた”動き”を、ひとつひとつコマ撮りする。
- 個人で撮影する。人数が多ければ、チームに分かれて、機材をシェアしながら撮影する。
- ⑥上映
- 全員の撮影が終わったら、みんなで、人数が多ければチームでアニメを見る。
- ※オプションとして、アニメを映しながら、撮影した子どもが気持ちを表すオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)をその場で添える。
- このイメージではスクリーン投影とモニターの両方を描いていますが、どちらかの鑑賞機材やそれに近い機材を選んでください。
- ⑦ふりかえり
- アニメからどんな気持ちと気持ちの変化を感じ取ったかを、ほかの学習者に発言させる。できれば、なぜそのように感じたか、その理由やアニメの表現もあげさせる。
- アニメを発表した学習者が、表したかった気持ちを発表する。
- ※学齢が低い場合は文章でなく単語でも良いので、感じ取ったことを発言させる。発表者はほかの人たちが感じ取ったことが当たっているかをYes/Noで答えるなど、ゲーム要素を加えることもできる。
- 工程解説 ふりかえり(coming soon)>>
- ⑧あとかたづけ
- アニメのデータを保存する。
- 工程解説 発表・配信(coming soon)>>
- ⑨参考アニメ:2パターン(顔Aは同じで、顔Bが異なる)
- このアニメは、アニメ制作経験のないファシリテーター向けの参考です。
- アニメーションとアニメーテッドラーニングの次のような本質を表しています。
- ●アニメーションは「モノが動いて見える/モノが変化して見える」仮現運動によって”動き”を知覚させます。この動きは、動きそのもの(モノの移動、大きさや形の変化)だけでなく、その映像を見た者に、その動きに意図や意味を感じさせることがあります。つまり、つくり手が動きに込めた意図や意味です。
- ●アニメーテッドラーニングは、この動き/変化が感じさせる「つくり手の意図や、なんらかの意味がある」を重要視し、学習者がその考えや情報・知識を表現する手段として用います。
- 学習者にこの参考アニメを見せるか、見せるならばどのようなタイミングにするかは、ファシリテーターがご判断ください。
参考アニメ(1)
参考アニメ(2)
指導のポイント
- 本練習ワークでは、学んだことや情報などの「伝えたいコト」を物語にしてから、視覚表現のアニメーションで表現することを学びます。
- 物語構成はいろいろとありますが、ここでは起承転結で物語をつくります。
- 練習ワーク0で学んだ、アニメーションの基本をシンプルな設定で実践して、アニメは簡単につくれるという達成感を得られるようにします。
- アニメーション(アニメ)の基本:
- 連続性:時間の経過と変形・変化
- アニメの動き/変化が感じさせる「つくり手の意図や、なんらかの意味」
- キャラクター:物語を進める役割、なんでもキャラクターになる
- サウンド:生声の効果音(オノマトペ)でサウンドが動画に変化をあたえる
「おにぎり顔」について
- 「おにぎり顔」は、公認心理師・学校心理士・ガイダンスカウンセラーの松本くみ子さんと、保・小・中・高・特別支援学校・学童保育の教員などが共同で開発している主体的なコミュニケーション力を育むための教材「あくとえいと(ACT8)」のひとつです。
- アニメーテッドラーニングらぼでは、許諾を得て15個の「おにぎり顔」を使い、学習者が自分の気持ちやアニメの登場人物の気持ちなどをアニメーションで表すワークショップ例を本項で紹介しています。
アニメーテッドラーニング ガイダンス用「おにぎり顔」のダウンロードシート
おにぎり顔シートの使い方
- ダウンロード教材から「おにぎり顔シート」(A4サイズ)をダウンロードしてください。
- シートにはおにぎり顔の番号ありと番号なしがあります。
- 顔カードは切り話して利用してください。
- シートの空白カードに、学習者が自分で顔を描くこともできます。
- 学習者が顔に描きすこともできます。
本ガイダンスは、アニメーテッドラーニングの日本における普及促進を目的とし、一般社団法人アニメーテッドラーニングらぼと文化学園大学 文化・住環境学研究所との共同研究で作成されました。アニメーテッドラーニングの普及促進やその実践のためならば、著作権保持者の許可なくこのガイダンスのコピーや転載ができます。その際は出典(本サイトURL等)と下記のコピーライトを明記してください。
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