1.参加者の感想
毎回終了後アンケートより。
多文化交流について
- 海外の人と触れ合う機会がいただけて良かった。
- 国が違う人と会話する機会がないため、自分にとっても良い刺激になった。
- 日本語学習者と話せて新鮮だった。
参加者自身の成長ついて
- 色々勉強したから、とても楽しかった。
- みんなと一緒にzoomやslackで話し合って、SDGsについて自分の考えを交換できるし、友達も作れる。
- 違う考え方が分かったのがとても楽しい。グループで話すと自分にはない話などが出て面白かった。みんな考えていて、面白い。みんなの考えとかアイデアがわかった。みんなそれぞれのアイデアが面白い!
- どうすればうまく伝わるかよく考えなければならなかったところが面白い。
- アニメ作りをゆっくりと進めてくれた。先生が丁寧に教えてくれてとてもありがたい。
- 一番年下だったが、キャラクター作りなどで役に立てて嬉しかった。
参加者自身の成長ついてグループワークの達成感、助け合いについて
- グループのメンバーがしっかりと反応してくれた。スムーズに進んだ。
- グールプには女子ばかりだったので、唯一の男性メンバーが気まずくなった気がするが、話せばなんとか大丈夫になってよかった。
- みんなと話すのが楽しくて、みんなも積極的に活働に参加していた。みんな楽しそうだった。
- 一緒にカット表ができて楽しかった。
- みんなでストーリーを話し合うのが楽しかった。
- みんなの作品がだんだん形になって、達成感いっぱいだ。
- 他のグループの制作途中経過や完成したアニメが見られて楽しかった。
- みんなが一つのことに向かって意見を言い合うことができて、有意義な時間を過ごせた。みんなで一つの目標に向かって頑張った。みんなで一つのことを目的に話し合うことは非常に有意義な時間であった。
- 私がうまく伝えられない時は通訳してくれた仲間がとても優しいのでありがたい。理解できない時に助けてくれたり、みんな親切だった。
2.ワークショップの成果
グループ1 地球ライダー
- メンバー:Yuta、レイ、ユキ、デイジ、マイチー
- タイトル:「明日」からのSOS
- テーマ:リサイクル
グループ2 地球人どうし
- メンバー:しゅん、まりあ、まさ、カナ
- タイトル:For our life
- テーマ:自然や環境を守る
グループ3 Ocean4
- メンバー:けんせー、ゆー、玉子、ありさ
- タイトル:For ocean For children
- テーマ:海の豊かさを守る、つくる責任 つかう責任
3.ワークショップのゴール(達成目標)と内容
ゴール(達成目標)
- ●伝えたいコト、「おとなたちに言いたいこと」をメッセージアニメにする。
- ●アニメ制作を通じてSDGsに関する学びを深める。
- ●アニメとオノマトペで、わたしたちと/わたしたちのSDGsを表現する。
- ○オノマトペは、アニメのはじめとおわりに1つずつ入れる。
- ●グループでつくる。
- ○みんなで、15秒~30秒くらいのアニメ1本とする(各人が担当するシーンをつくる)
- または
- ○オムニバスで、テーマを統一したアニメを各人がつくり1本につなげる(全体で60秒~90秒程度)
- ●多文化コラボレーション:ことばだけでなく、使えるものはなんでもつかってオンラインで話し合う。
- ○アニメとオノマトペで、ことばだけに頼らずに、多文化交流をする。
- ●2022年1月23日の「アニメーテッドラーニングフォーラム2021」で成果を発表する。
実施概要
日時 | ワークショップ1日目 2021年12月12日(日) 日本時間 17時~20:30 ワークショップ2日目 2021年12月19日(日) 日本時間 17時~20時 ワークショップ3日目 2021年12月28日(火) 日本時間 17時~20時 発表とふりかえり 2022年1月23日(アニメーテッドラーニングフォーラム2021) 日本 午後5時、GMT 午前8時/各3時間+30分グループワーク |
会場 | オンライン開催 |
主催 | アニメーテッドラーニングらぼ(ALLjp) |
協力 | 文化学園大学 文化・住環境学研究所、造形学部ー共同研究 アニメーテッドラーニングにわくわくしている日本語教師グループ(「AWN」) |
助成 | 令和3年度子どもゆめ基金 子ども体験活動 助成活動(独立行政法人 国立青少年教育振興機構) アニメで考える、伝える、わたしたちのまちと未来―高校生と日本語学習者のアニメーテッドラーニング |
対象と募集 | ●高校生(日本在住者で日本語ネイティブ)、在外の日本語学習者(中学生から大学生くらいまで)、日本在住の日本語学習者(外国出身者)。 ●募集期間2021年9月下旬~11月末。募集は主にネットでおこなった。告知サイト>> ●定員20名。 |
参加条件 | ●ワークショップは日本語(やさしい日本語)で進行するため、日本語でやりとりができること(日常会話程度)。日本語能力試験JLPT N4以上(N3くらいの会話力が望ましい)。 ●スマホ/タブレット/カメラ付きパソコンのいずれか1台以上(できれば2台)、インターネット接続(定額制)、その他に必要な道具や材料は各自準備。教材は各自プリンタアウト。 ●参加無料。 |
参加者 | 13名(3日目は1名病欠) 日本在住、日本語ネイティブ、大学生 3名 日本在住、日本語ネイティブ、高校生 1名(3日目と発表日は病欠) 日本在住、中国出身の留学生、大学生 2名(日本語学習者) 日本在住、ブラジル出身、大学院生 1名(日本語学習者) 中国在住、高校生(語学専門高校) 4名(日本語学習者、うち3名は日本留学希望) アイルランド在住、日系人、中学生 2名(継承日本語学習者) |
講師兼グループワーク支援ファシリテーター
総合ファシリテーター SGDs担当 | 浪越徳子、事務局:ALLjp 理事 |
アニメーション担当 | 荒井知恵 文化学園大学造形学部 准教授(アニメーテッドラーニング共同研究者) 手描きアニメーター、イラストレーター |
サウンド・映像編集担当 | 佐藤皇太郎 映像作家、東京造形大学・非常勤講師 |
オノマトペ担当 | ユー スギョン 京都精華大学マンガ学部 特任講師 |
プログラムアドバイザー | 長江春子(公益財団法人国際文化フォーラムで多言語・多文化交流:高校生のパフォーマンス合宿担当) |
全体アドバイザー | 昼間行雄 文化学園大学造形学部 教授(アニメーテッドラーニング共同研究者) |
プロデューサー 総監 | 伊藤裕美、事務局:ALLjp 理事 |
ワークの内容
- 全日程オンライン開催。
- 全体で、SDGsの学び、アニメ制作・映像編集やオノマトペの技術的講義をおこなった。
- ブレイクアウトルームで、話し合いをおこなった。
- 参加者各自が所在地で、制作の個人ワークをおこなった。
- ワーク日とワーク日の間もグループでZoom会議やSlackで話し合いをおこない、アニメ制作や編集の作業を参加者各自が所在地でおこなった。
- 講師兼ファシリテーターはワーク日とワーク日の間、
- Slackで担当グループの「こんな時、どうする?」に対応した。
- Slackで担当する分野の質問に対応した。
- 担当するグループのリーダーなどに進捗を確認した。
1日目の宿題
- 事前に参加者がおこなった個人ワーク:
1日目
- 全体セッション <160分>
- アイスブレイク:自己紹介。
- ワークショップのゴールの説明。
- オノマトペを学ぶ:ゲーム感覚で、日本語のオノマトペの表現を学ぶ、オノマトペを新しくつくる。
- アニメつくりの基礎を学ぶ:StopMotionStudioの使い方、カメラ設営のやり方、必要な材料や道具。
- サウンド、音楽、映像の編集の基礎を学ぶ:高校生が使える編集アプリの候補を示す、編集参考例。
- わたしたちと/のSDGs:SDGs宿題の確認。SDGsのメッセージアニメをつくることの確認。
- ブレイクアウトルームでグループワーク <50分>
- グループ分け:3グループ
- 自己紹介(名前、住んでいるところ)。
- リーダーと役割分担を決めた。
- 募集時に聴取した得意なこと、好きなことなどを目安にグループ分けを事前におこなった。
- 日本語能力を考慮して、日本在住の大学生3名をリーダーとするように調整した。
- 伝えたいコト
- テーマとするSDGs目標を話し合った。
- 「ブレスト話し合いの記録シート」、Zoomホワイトボードなどに書記が記録した。
次回までの宿題(グループワーク、個人ワーク)
- グループで、各自で、選んだSDGsから「伝えたいコト」を考える。
2日目
- ブレイクアウトルームでグループワーク <60分>
- 自己紹介(1人60秒で「好きなこと、得意なこと、ハマっていること」をプレゼン)。
- チームとして「伝えたいコト」を決めた。
- プロットをつくる:4W1Hと起承転結を考え、プロットを考えた。
- 「ブレスト話し合いシート」と「4場面物語」に記録。
- 全体セッション <35分>
- アニメのつくり方:アニメの技法(表現法)、素材や道具の工夫、講師見本(絵が苦手な人対策:簡単な手書き作画、コラージュ、切り絵など)。
- カット表の基本を学ぶ:アニメの設計図、フレーム/カット/シーンを理解する。
- 編集でオノマトペの入れ方。
- ブレイクアウトルームでグループワーク <60分>
- カット表(簡易ストーリーボード):
- どのような形態でワークするか決めた。担当を決めた。
- キャラクターや背景などを決めた。
- 全体セッション <10分>
- カット表発表、講師のアドバス。
- 次回、撮影のために準備するものを伝えた。
- ブレイクアウトルームでグループワーク <30分>
- カット表の修正。
- 材料、道具:各自が準備するもの、メンバーが共有しなけばならないことをリモートでどのように共有するか決めた。
- 各自が撮影法(カメラ横置き、縦置き)と撮影ステージを考えた。
次回までの宿題(グループワーク)
- カット表を完成させる。
- 担当を決め、各自でキャラクターや背景などを制作する。
- ※総意ならば、作画が上手い参加者が代表してデザインして、グループ内でシェアする。
3日目
- 全体セッション <30分>
- グループが伝えたいコトのテーマとアニメ設計図のカット表を発表した。
- 全体セッション <20分>
- アニメのつくり方:データの書き出し、共有ホルダーへのアップロード、各人の撮影ステージ確認。
- ワークショップのゴール再確認。
- 著作権保護などの諸注意。
- ブレイクアウトルームでグループワーク <90分>
- キャラクターや背景などを制作した。
- コマ撮り、テスト撮影をした。
- 全体セッション <20分>
- コマ撮りできたカット、テスト撮影したカットの中間発表。
- ブレイクアウトルームでグループワーク <30分>
- 発表までに各自がおこなうことを決め、グループのZoom会議日を決めた。
- 公式日程終了後も参加者たちは主体的にグループでZoom会議をおこない、個人ワークを継続した。
発表会までにグループでおこなったこと
- 一般公開用の完パケ完成:事務局がYouTube等にアップした。
- カット表、それに準じる「アニメの設計図(計画書)」を提出した。
- 発表すること、発表のやり方をグループで決めて準備した。
- ※ 講師と事務局が、担当グループの進捗を確認しつつ、発表会に間に合わせるように促した。
4日目 発表会
アニメ発表とふりかえり。
- アニメーテッドラーニングフォーラムで成果発表をおこなった。フォーラムは一般参加可(事前登録制)。当初は一般公開はしないとしたが、参加者全員の同意を得てフォーラムでの発表に切り替えた。ただし、1名は当日病欠だった。
- フォーラムでの発表としたため、全体とグループ内のふりかえりがおこなえなかった。
- 顕彰 全グループに〇〇賞授与を予定したが、取り止めた。
- 発表会については「アニメーテッドラーニング指導者講習会とアニメーテッドラーニングフォーラム2021」の報告書>>(準備中)
参加者と主催者・講師とのコミュニケーション
- 参加者決定後、11月~12月上旬、参加者と個別にオンラインで顔合わせをした。
- 参加者と主催者の気ごころを通わせる:オンラインや日本語で話す不安を取り除くようにした。
- 個々の性格や趣味、参加志望動機、日本語能力をリサーチしてグループ分けの参考とした。
- Zoomとネットワーク環境、撮影用機材の準備可否をチェックした。
- ワークショップ開始前に課題(宿題)を出して「学び」の準備を促した。
- オノマトペの資料:オノマトペのいろいろ、新しいオノマトペをつくるための参考資料。
- 課題資料「SDGs話し合いの資料、SDGsとわたし」を読んで質問に回答(ワーク中に各自発表)。
- オンラインガイダンス(http://alljp.org/guidance)「準備と制作の項」と「練習ワーク」を読む。
- オンライン作業と交流。
- 参加者が自機にZoom、Slack、コマ撮りアプリStopMotionStudioをインストールした。
- SlackとGoogle Driveで成果物(ブレスト話し合いシート、カット表、アニメ)を共有した。
- Zoom録画をGoogle Driveにアップして、参加者限定で視聴できるようにした。
- 「やさしい日本語」を全員が使うようにした。必要に応じて参加者が得意とする言語(英語、中国語)でも交流した。
- 毎回終了後の参加者アンケートで、つまづきがないか、日本語の理解や会話に問題がないかを確認した。
4.主催者のふりかえり-目的達成の自己評価
全体評価
- 国内外複数地点に点在する年齢の異なる13名が「おとなたちに言いたい!アニメとオノマトペで表現するSDGs」というテーマで、コマ撮りを完全リモートワークでおこなった。
- 「アニメをつくりたい」という熱意は参加者に話し合いと分業を促した。参加者の感想、成果物とフォーラムでの発表内容が、アニメーテッドラーニングは21世紀型スキル向上に役立つことを示している。大半がアニメ制作未経験者で互いに面識のない若者たちがリモートで話し合いをしながら上記テーマをアニメにできるか?という懸念が開始前にはあったが、講師陣の弛まない助力と参加者に劣らない熱意により、この画期的な体験は参加者に自己肯定感をもたらし、SDGsへの関心を深めさせ、主催者が設定したゴールを充分に達成したと考える。
主催者の課題
- 文字情報をアニメに置き換えるツール(ワークシート、作画支援教材など)と指導法のさらなる改善、アニメ制作で学びを深めるファシリテーションの向上は必要である。
- 参加者募集では、日本在住の高校生(日本語ネイティブ)の応募が少なかった。学校、教育委員会、教育者などの教育現場との接点を広げ、募集協力を依頼できるネットワークが必須である。
- 本ワークショップは、アニメーテッドラーニングの日本における普及促進を目的とし、一般社団法人アニメーテッドラーニングらぼと文化学園大学 文化・住環境学研究所との共同研究の下に実施されました。
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