この動きは、どんな気持ち?
概略
- 本ワークの対象:アニメ制作未経験者・初心者向けのウォームアップです。本ワーク実施のタイミング;1)練習ワーク1以降を実施する前におこなう、2)他の練習ワーク後でも学習者が「表現力を高めたい」と望んだ時に「参考アニメーション」として活用する。このほか、いろいろなワークのウォームアップでもご利用ください。
- 目的:アニメーションは「モノが動いて見える/モノが変化して見える」仮現運動によって”動き”を知覚させます。この動きは、動きそのもの(モノの移動、大きさや形の変化)だけでなく、その映像を見た者に、その動きに意図や意味を感じさせることがあります。つまり、つくり手が動きに込めた意図や意味です。アニメーテッドラーニングは、この動き/変化が感じさせる「つくり手の意図や、なんらかの意味がある」を重要視し、学習者がその考えや情報・知識を表現する手段として用います。本ワークでは、アニメーションの動き/変化が表現手段となることを体験します。
- 活動の流れ:参考アニメと顔の表情を描いたカード(「おにぎり顔」(c) スリーエイブル教育スタイル研究所)を用い、次の作業で「この動きは、どんな気持ち?」を感じ取ります。
- 1.参考アニメを見る:単純な形状のモノがさまざまに動く短いアニメを選びます。参考アニメは6種。
- 参考アニメーション(1-1)(1-2)(1-3):1つのモノが単純な動きをする。つくり手は動きに「気持ち」を込めているが、その動きが単純過ぎると、見る人に気持ちは伝わらない。アニメで「伝えたいコト」を伝えるには表現の工夫や技術、そして物語と演出が必要になることを知る体験。複数パターンの短いアニメ(各5秒程度)。
- 参考アニメーション(2-1)(2-2)(2-3)(2-4): 1つのモノが動く。変形や色の変化などのモノの変化、速度変化や動線の複雑化など、記号論を取り入れた動きをする。(1)と異なり、つくり手が込めた気持ちが伝わる理由を考えながら、アニメで「伝えたいコト」を伝える要件を感じ取る。複数パターンの短いアニメ(各5秒程度)。
- 参考アニメーション(3-1)(3-2)(3-3)(3-4): 1つのモノが動くところに干渉物・障害物が加わる。それにモノが反応する。モノは変形、色の変化、速度や動線の変化などする。(2)より複雑な動きとなり、干渉物・障害物の前と後の気持ちの変化を感じ取れることもある。複数パターンの短いアニメ(各10秒以内)。
- 自作のアニメーション:参考アニメーションだけでなく、ファシリテーターや学習者がアニメをつくり、「おにぎり顔」と共にワークを発展させることもできます。アニメのつくり方は練習ワーク1以降と工程解説、コラムをご参照ください。
- 2.気持ちを表す「おにぎり顔」を選ぶ:参考アニメを1本見るごとに、学習者が感じた気持ちを表す「おにぎり顔」カードを選びます。
- 3.発表(気持ちを誰かに伝える):同じアニメをもう1度見ながら、各学習者が選んだ「おにぎり顔」カードを見せながら、モノの気持ちをオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)で表します。みんなで感想などを話します。
- 個人活動と全体発表:おにぎり顔カード選びは個人でおこない、発表は全員でおこないます。各人が選んだカードにオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)をつけながら発表します。
- 参考アニメーションに興味をもったら、「つくり方」もご覧ください。プロが使う道具や材料でなくても、簡単なアニメはつくれます。本ワークでアニメーションの表現に興味をもったら、アニメつくりへ進みましょう>>練習ワーク1
- 学習者の対象年齢:小学1年生(7歳)以上、未就学児でも5、6歳くらいなら可能です。
- ワークの時間:
達成目標
- アニメ(アニメーション)の基本を学ぶ
- 連続性:時間の経過と変形・変化
- アニメの動き/変化が感じさせる「つくり手の意図や、なんらかの意味」
- キャラクター:物語を進める役割、なんでもキャラクターになる
- サウンド:生声の効果音(オノマトペ)でサウンドが動画に変化をあたえる
道具を準備する<準備するもの>
- 「おにぎり顔」カード(学習者の人数分。カードがなければ、おにぎり顔の切り絵を本サイトからダウンロードして用いる)。
- AV機器(モニターと音響機器):スマホ、タブレットあるいはパソコンをモニターに接続し、本サイトからアニメをダウンロードして見る、あるいはストリーミングしながら見る。
- 工程解説:完成したアニメの上映(coming soon)>>
ワークの手順
- ① 参考アニメーション(1-1)(1-2)(1-3)を全員で見る
- ファシリテーターは、事前に学習者に内容や関連情報を知らせず、学習者が見るアニメの印象を自由に感じたり、内容を考えるように誘導する。
- 参考アニメーション:各5秒程度の短い、複数パターンのアニメ。
- 単色の背景に、単純な形状のモノが現れる。
- モノが動き始める。平面の白紙の上で、モノが左右、上下、奥から手前、直線・ジグザク、コマ数を変えて(動きの遅速、時間の長短)動く。動きはモノの「気持ち」を表している。※気持ちは、学習者それぞれが感知すればよく、正解はない。
- 音声はない。
- 参考アニメーションをひとつづつ見ながら、②以降のワークをおこなう。見る順番はファシリテーターが選び、またすべてを見るのではなく、どれかを選んでもよい。
参考アニメーション(1-1)
- ② この動きは、どんな気持ち?
- ファシリテーターが参考アニメーション(1)のモノは「どんな気持ち?」と問い、各学習者が「おにぎり顔カード」を選ばせる。
- 学習者がモノになったつもりで、「自分の気持ち」として選んでもよい。
- ③ 参考アニメーション(1-1)をもう一度見る
- 学習者が選んだ「おにぎり顔」を見せ、オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)で、モノの気持ちを表しながら、発表する。
- 参加人数が多い時は、グループに分ける。
- ④ ふりかえり
- 各人の発表を聞いてから、それぞれが選んだ「おにぎり顔」とオノマトペの感想などを話し合う。
- 「モノの気持ち」に正解はなく、どのような気持ちを表してもよいとする。
- おにぎり顔とオノマトペがマッチして、気持ちが伝わったら、見ている人は拍手や足踏みなどで褒める。上手く伝わらなくても、諫めたり、否定的な評価はせず、拍手などする。
参考アニメーション(1-2)
参考アニメーション(1-3)
- ⑤ 参考アニメーション(2)を全員でみる
- ファシリテーターは、(1)と同じように、事前に学習者に内容や関連情報を知らせず、学習者が見るアニメの印象を自由に感じたり、内容を考えるように誘導する。
- 単色の背景に、単純な形状のモノが現れる。
- モノが動き始める。動きは左右、上下、奥から手前、直線・ジグザク、コマ数を変える(動きの遅速、時間の長短)など、(1)とは異なる動き方をする。動きはモノの「気持ち」を表している。※気持ちは、学習者それぞれが感知すればよく、正解はない。
- 干渉物や障害物(別のモノ、線など)を加えて、(1)より複雑な動き方をする。
- 音声はない。
参考アニメーション(2)
- ⑥ 参考アニメーション(2)で②~④をおこなう
- ⑦ 参考アニメーション(3)を全員でみる
- ファシリテーターは、(1)と同じように、事前に学習者に内容や関連情報を知らせず、学習者が見るアニメの印象を自由に感じたり、内容を考えるように誘導する。
- 単色の背景に、単純な形状のモノが現れる。
- モノが動き始める。動きは左右、上下、奥から手前、直線・ジグザク、コマ数を変える(動きの遅速、時間の長短)など、(1)(2)とは異なる動き方をする。動きはモノの「気持ち」を表している。※気持ちは、学習者それぞれが感知すればよく、正解はない。
- 干渉物や障害物を加えるだけでなく、モノ自体が変形するなど、(1)(2)より複雑な動き方をする。
- 音声はない。
参考アニメーション(3)
- ⑧ 参考アニメーション(3)で②~④をおこなう
参考アニメーションのつくり方
- あしたのんきさんが参考アニメーションのつくり方をイラストで解説します。
- 文章にイラストが加わると、直感的な理解が深まりますね。
- 本ワークのような簡単なアニメからアニメーテッドラーニングをスタートしてみませんか?
- 参考アニメーションとつくり方イラスト 作成:あしたのんき ©︎asitanonki
- アニメーションの基礎やつくり方を詳しく知りたい時は
- 工程解説:アニメの基礎(coming soon)>>
- 工程解説:アニメーション(coming soon)>>
指導のポイント
- 本練習ワークで、アニメーションの基本となる「連続性(時間の経過)」を実感します。モノが時間の経過とともに移動や変形などの変化をし、その変化を撮影(コマ撮り)することで仮現運動(見かけの運動)を生じさせるのがアニメーションです。映像の連続性で、モノが動いて見え、何らかの意味合いを持つことを感じ取ります。
- アニメーションの構成要素であるキャラクターを認識します。TVアニメのキャラクターのようでなくても、なんでもキャラクターになります。アニメーションはモノが動いているように見せるだけでなく、動かし方次第で、モノの動きに意味を持たせることができ、モノがキャラクター(物語の登場人物、その性格や性質)となります。
- 音(サウンド)の効果を認識します。音楽だけでなく、効果音がアニメーションで重要な役割を持つこと、生声や身近なモノでオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)を加えると物語(本ワークでは「気持ちの表現」)を伝わりやすくすることができることを体験します。
- 本ワークでアニメーションの表現に興味をもったら、アニメつくりへ進みましょう>>練習ワーク1
「おにぎり顔」について
- 「おにぎり顔」は、公認心理師・学校心理士・ガイダンスカウンセラーの松本くみ子さんと、保・小・中・高・特別支援学校・学童保育の教員などが共同で開発している主体的なコミュニケーション力を育むための教材「あくとえいと(ACT8)」のひとつです。
- アニメーテッドラーニングらぼでは、許諾を得て15個の「おにぎり顔」を使い、学習者が自分の気持ちやアニメの登場人物の気持ちなどを表すワークショップ例を紹介しています。
アニメーテッドラーニング ガイダンス用「おにぎり顔」のダウンロードシート
おにぎり顔シートの使い方
- ダウンロード教材から「おにぎり顔シート」(A4サイズ)をダウンロードしてください。
- シートにはおにぎり顔の番号ありと番号なしがあります。
- 顔カードを切り離すかシートのまま使うかは、ワークの内容に合わせて決めてください。
- シートの空白カードに、学習者が自分で顔を描くこともできます。
- 学習者が顔に描きすこともできます。
本ガイダンスは、アニメーテッドラーニングの日本における普及促進を目的とし、一般社団法人アニメーテッドラーニングらぼと文化学園大学 文化・住環境学研究所との共同研究で作成されました。アニメーテッドラーニングの普及促進やその実践のためならば、著作権保持者の許可なくこのガイダンスのコピーや転載ができます。その際は出典(本サイトURL等)と下記のコピーライトを明記してください。
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