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実施報告 ひるさんのこれがわかると、アニメができる!Vol.3 指導者向けアドバンス講習会「つかみのアニメ カットを割る、アップにする」

指導者向けアドバンス講習会後のおしゃべり(意見交換)

  • 日時:2024年10月27日(日)講習会+意見交換 18:00~20:00
  • 場所:Zoom
  • 講師:昼間行雄氏(ひるさん)
  • 参加者3名(UKさん、BNさん、のんきさん)+事務局2名(なみさん、ひとさん)
  • 講師・昼間氏の指導者向けアドバンス講習会が終わり、参加者3名、講師、事務局が、それぞれの実践を紹介しながら、意見交換をおこないました。
  • ひとさん:
    • 参加者にこれから、言語教育での動画をどうやって使っていくか、いま何をしているか、また、今後の計画等を伺いたい。
  • NBさん(日本語教師):
    • はじめにこの講習の感想を述べたい。とてもわかりやすかった。
    • 映画が始まって、はじめは固定したカメラで撮影していたが、誰かのアイデアがあり、どんどんアイデアが溜まっていくということがとても興味深かった。
    • ひるさんが教材をつくる中で改めてそれを感じたと仰っていたが、わたしも「つくり、見て、気づきにつながる」と改めて感じた。つくっていくことが大事だと思う。
    • もう一点、制限あり同じ魚を使って表現しても、違うものが出てくる、
    • これは、わたしたちが学習者とおこなっている「小噺」にもつながる。
    • 小噺は、物語は同じで、小道具は限られるが、いろいろな表現がでてくる。
    • 各人がなにを強調したいか、どこを大事と思うか・・・それらを考える、その広がりが醍醐味と思った。
    • この教科書の特徴は、いろいろなシチュエーションのイラストを見せて、会話、ことばを引き出すところ。
ひるさん講習会V3_できる日本語_アルク刊_1
「できる日本語」(アルク刊)より
    • イラストが付いている教材はほかにもあるが、モノを並べただけで、シチュエーションを示していない。
    • 「できる日本語」のイラストは、あるシチュエーションで、誰が、どのような立場で話しているかが理解できるようになっている。
    • 下のイラストは、「靴を脱がなくてもいいですよ」というシチュエーションで、左側の女性の立場で話させるというもの。
ひるさん講習会V3_できる日本語_アルク刊_2
できる日本語」(アルク刊)より
    • イラストが鍵になる。
    • ただし、全てのイラストが、パッと見て、誰が、どのような立場で話しているかが分かるように描かれているとは限らない。
    • 誰の視点で、どこに注目して話しているかということを、日本語教師がイラスト作者に伝え、上手いイラストを描いてほしいと長年思っている。
    • ひるさんの講習がこれとつながり、「こういうことなんだ」と示唆を得た。
    • もうひとつは、人間が頭の中に描いていることをことばにするとき、なにを、どのように見ているのかという視点が大事と改めて感じた。
    • さらに認知言語学では、日本語とヨーロッパ言語の違いとして、ヨーロッパ言語はカメラの引きの視点、つまり「神の視点」から世界を描写すると、池上嘉彦さんの著書「自然な日本語を教えるために-認知言語学をふまえて」などに書かれている。
    • ヨーロッパ言語はGoogleマップのように俯瞰的に見る。
    • ひるさんの講習の映像の話しで言えば、映像をつくったひとが「ひとつの視点」から世界を見て描写する。
    • しかし日本語はGoogleストリートビュー。視点が移動しながら描写する言語。
    • 教科書のイラストの多くは、引きの視点から見て描写している。そうではなく、Googleストリートビュー的な視点で見ていることが分かるイラストでないと、日本語らしい表現が引き出せない、と感じている。
    • 「視点」が重要であると再認識でき、とても面白かった。
    • 言語が人間のものの見方を規定するという説はあるが、演習課題のクローズアップのように魚の視点とサメの視点が転換するようなことを、ヨーロッパ言語話者が発明したのだから、言語が世界観や視点の転換を規定しているわけではないと思った。
    • これは人間の普遍性、言語に規定されないところだろう。
    • 映画の文法や視点は、日本語のGoogleストリートビュー的な視点と引きの神的な視点の両方を取り入れて伝えている。引きの視点は叙述、地の部分ようなもの。クローズアップという視点の転換があると、そのひとの立場でナラティブ的な語りになったりと、面白い。
    • 言語教育に取り入れられる「視点」だと思った。
    • 今日のお話を聞いてワクワクして、自分の中でいろいろなものが動き出すのを感じた。
  • ひとさん:
    • アニメーション、静止画の紙芝居的な見せ方、視点の転換、脳がつくるイメージには視覚的な認知や記憶が反映するということを、どう表現していくかというのは、わたしたちが頭の中で映像を途切れることなくつくっているとか考えると、「視点」が重要になると考える。
    • 前述の「できる日本語」の教材例は、1枚の中に「靴を履く」クローズアップがあり、話者が手前、伝える相手が奥に配して表現されている。動画ではないが会話のシチュエーションが分かる教材と関心した。
    • UKさんがPDL協会でなさった、ストーリーテリングや紙芝居のワークショップはどのようなもの?
  • UKさん:
    • わたしはオーガナイザーで、ワークショップをしたのはドイツ人のトレーナー。
    • そのトレーナーは小学校で教えていて、指人形を準備し、子どもたちに自分の話をつくらせ、それを紙芝居にする。
    • 最後に発表会があり、他のクラスに行って紙芝居を演じて見せる。
    • 移民の背景を持つ子どもはドイツ語が流暢ない子もいるが、自分の言葉で自分のストーリーをドイツ語で話すことで自信がつく。
    • ワークショップは、トレーナーたちが指人形のセットを使いながら、自分の物語をつくった。
    • クローズアップでいうと、「自分が伝えたいこと」に注目させるのが言語教育では大切。
    • アニメをつくらせて、どこをアップにするかを考えるというのは言語教育で使えると思った。
  • ひとさん:
    • いま、高校生のワークショップをやっている。のんきさんが講師で、テクニックのエッセンスを話してもらった。
    • 一番伝えたいところに注目してもらうにはどうするか?
    • 見せたいところだけ動かすと、のんきさんがワンポイントアドバイスをした。
    • 高校生は映像を見慣れているので、注目させるところの構成を考えてくるだろうと期待している。
    • アニメーションは「動き」を入れられる。静止画と違い、アップのカットを途中で入れたり、物語を時間軸で見せられる。
    • 指人形では紙芝居を見せた?
  • UKさん:
    • 話をつくるきっかけとして指人形を使い、話をつくり、それを紙芝居にして、他のクラスで発表する。
    • 子どもが場面を描きながら、これが大切とか、こういう自分をイメージするとか、子どもたちのイメージが紙芝居を書くことで子どもたちの中で再度イメージが動きだすように思う。
  • ひとさん:
    • ストーリーテリングの準備段階で指人形を使ったということですね。
  • UKさん:
    • はい。ドイツ人トレーナーが行ったのは週に一度くらいだが、1年間のプロジェクト。ドイツ語のサポートが必要な子どもたちのクラスでおこなった。
    • 最後に、先生が紙芝居の絵を編集して、絵本をつくる。
    • セリフはドイツ語と家庭語の両方で書き、発表でも家庭語を入れる。
    • マルチリンガル紙芝居になり、子どもたちは自分の家庭語にも誇りを持つようになる。
    • 1年経っても、その時のドイツ語のセリフを子どもたちは忘れない。ドイツ語の授業で習ったことは忘れても、自分のことばになっているから忘れないのだろう。
  • ひとさん:
    • 自分のことばにする。家庭語を否定しないのがすごい。
    • 外国に暮らす子どもたちは本来の言葉を否定されがちなのに、ドイツの学校教育は進んでいるな、と思う。
  • UKさん:
    • 日本でもそういうことをやっている。世界的な傾向として、トランスランゲージがテーマ。
    • 家庭語を使うのは、親に言語教育に対する協力体制もほしいから。親も巻き込むために。
  • NBさん:
    • 「ことばの教育と平和」(明石書店刊、佐藤慎司/神吉宇一/奥野由紀子/三輪聖編著)という本の「ドイツの「継承日本語教育」の現状と課題」という章で、ドイツの言語教育がどのようになされているか、それぞれの継承語、自分の母語をどう学校教育の中で扱い、市民を育てるのに役立てているかが取り上げられている。
    • この章をベルリンの日本語上級クラスのドイツ人と読んだ。そして、学生それぞれの体験と比べたり、著者を招いてディスカッションをした。
  • ひとさん:
    • 物語のセリフの意味合いでも、ドイツ語と継承語の両方を使うと、記憶に残るだろう。
    • その際に「つくる」という工程を入れる。手を動かす、ジェスチャーを伴って言語を発する、アニメーションにセリフを付ける、という面倒な工程を加えると、学習して覚えるのとは別に、言葉の幅が広がるだろう。
    • 今年の夏休みも、子どもたちとワークショップを行った。アニメだから絵だけでも良いのに、参加者たちはナレーションを入れたがる。絵で表現したものを、もう一度ことばで置き換えることを子どもはしたいのかな?と思う。
    • 高校生のワークショップでも、最終的にはセリフやテロップを入れて、絵にことばを加えるだろうと見ている。
    • アニメーションは言葉なしでも伝わると言っても、伝える側は、使える表現、絵とことばの両方を使って伝えようとする。
    • 本来のアニメーションとは違うかも知れないし、参加者のアニメーションの表現力が拙いから、そうなるかも知れないが、「ことば」が常に付いてくると思っている。
  • UKさん:
    • わたしたちが「アクティブラーニング」を習った、渡部淳先生(1951年~2020年、日本大学文理学部教授、教育内容・方法論、ドラマ教育、獲得型教育研究会)が、アクティブラーニングには3つの表現モードがあると仰っていた。
    • ものモード:アニメや絵など、ことば以外で表現する。
    • ことばモード:ことばで表現する。
    • からだモード
    • アニメ制作で動きを考えていると、自分の身体の中にあたかもアニメのキャラクターとして一緒に動いているような感覚が生まれる瞬間があるのかも知れない。
    • 人間はからだを動かすと、ことばが出てくる。
    • ことばを発しながら、からだを動かすPDLはこれを使って、ことばにつなげていくテクニック。
    • アニメの動きを見ていると、疑似的にからだが動く感覚、なにかを言ってみたい感覚が生まれるのではないか。
    • これは人間がもつ本能かも知れない。
  • ひとさん:
    • 他人の動きが移るときある。知能もった動物は真似をする、ミラーリング本能があり、そうすることで記憶に残していく。
    • その中に言葉が常に連動していくのかと思う。
    • 渡部さんがおっしゃった「からだ」モードで言えば、演劇と異なり、アニメは身体を動かしてはいないが、自分が動いている感覚があるのかも。どうですか、のんきさん?
  • のんきさん(アニメーション作家、アニメーション制作指導者:
    • そういう感覚はある。激しいシーン描いた後は疲れる。
    • 動いた気分になっているとは言い切れないが。
  • NBさん:
    • わたしがフィリピン語(タガログ語)を勉強し始めて、覚えたことばをどうやって意味のあることばにするか、というとで、アニメをつくってみようと思った。
    • 覚えた言葉を組み合わせて話しをつくり、それをアニメにする。
    • このアニメは日本語授業でも使えるかなと思う。
    • こういう気持ちをキャラクターにどうやって表してもらえるかをすごく考えて、感情を形にするというところが面白かった。
    • 制作したアニメを見てください。まず、音声なしで。
    • アップはなく、カメラ固定で撮った。
ひるさん講習会V3_Nアニメ1
    • このアニメにはフィリピン語のセリフを付けた。一度で音入れしようとしたので、セリフがスラスラと、キャラクターが動く時間に合わせて言えるまで練習した。それが、フィリピン語の勉強になった。
    • もう1本見せる。
ひるさん講習会V3_Nアニメ2
    • このアニメは、授業で日本語のセリフを付けてもらった。シチュエーションは自由に想像してもらった。
    • わたしはフィリピン語のストーリーを考えてつくったので、わたしの中のストーリーはあったが、セリフを考えるひとは全然別の見方をしてよい。
  • (日本語を勉強している生徒が日本語のセリフを付けたアニメを鑑賞)
    • うさぎ: おはよう、犬ちゃん。
    • 犬: おはよう、うさぎちゃん。
    • うさぎ: 元気ですか?
    • 犬: 元気じゃないです。お腹が空いてます。(倒れる。3つの☆マークがクルクル回る)
    • うさぎ: オー、オー、オー、なんですか?オー、犬ちゃん。
    • 犬: 夕べからなにも食べていません。
    • うさぎ: オー、ニンジンがあります。食べましょう。
    • 犬: 美味しそうです。
    • うさぎ: どうぞ、どうぞ。
    • 犬: ありがとうございます。
    • うさぎ: アー。
    • 犬、うさぎ: かんぱーい!(乾杯する)
    • うさぎ: 気持ちがいいなぁ。
    • 犬: 気持ちがいいです。
  • ひとさん:
    • わたしが考えた話しと全然違う。おもしろい。
    • セリフは何回も練習して、スラスラ言えるようになったのか?
  • NBさん: 
    • 3度くらい録音し直した。
    • このクラスは日本語を何年も勉強していたので、完璧に覚えなくても、互いに合わせることができた。アドリブもちょっとできた。
    • 日本語学習を始めて週数間の初心者クラスでもやってみた。
  • UKさん:
    • 同じ絵を見てもいろんなバリエーションがあって面白い。
    • 元の台本と自分たちが考えたものとの比較するのも面白い。
  • (初心者クラスの生徒が音入れした、同じシチュエーションのアニメを2本見る)。
    • うさぎ: こんにちは~。
    • 犬: こんにちは~。
    • うさぎ: お元気ですか?
    • 犬: はい、元気です。(倒れる。3つの☆マークがクルクル回る)
    • うさぎ: あの~、すみません。元気ですか?
    • 犬: まあまあです。
    • うさぎ: 野菜、食べますか?
    • 犬: はい、いただきます。
    • うさぎ: はい、どうぞ
    • 犬: ごちそうさま。(乾杯する)
    • うさぎ: いぃえ。
    • うさぎ: ランランランランラン、いらっしゃいませ、犬さーん。元気ですか?
    • (犬が倒れる。3つの☆マークがクルクル回る)
    • うさぎ: オー、犬さん、犬さ~ん。元気ですか、犬さん
      • 疲れていますか?
      • 食べたいですか?
      • どうぞ、ニンジンです。いち、にー、さん。
    • 犬: マニュ、マニュ、マニュ。
      • おー、ありがとうございます、うさぎさん、おししいです。
  • ひとさん: オノマトペまで入っていてすごい。
  • のんきさん: アニメーションをつくったのは、NBさん? すごく上手ですね。
ひるさん講習会V3_おしゃべりタイム
  • NBさん: 
    • のんきさん、ひるさんに教えていただいたので、撮りました。
  • ひとさん: 
    • アニメだとストーリー的に広げられるというのがあったのか?
  • NBさん: 
    • アニメは架空の世界をつくりやすい。
  • のんきさん: 
    • 色を押さえて、語り過ぎていないところが、見るひとの想像力を掻き立てて、良い素材だと感心した。
  • NBさん: 
    • 手で描くと、たくさん描かないといけないから、切り絵にした。
    • 目を動くようにして、目で表情を付けた。
  • ひとさん: 
    • 日本語を習いはじめて数週間のわりに、会話が成立していてすごい。
    • 「大丈夫ですか?」はまだ習っていなかった?
  • NBさん: 
    • 教科書の第1課から第5課くらいで、挨拶と家族のこと、食べる会話を勉強した程度。
  • UKさん: 
    • こういうシチュエーションなら、「大丈夫ですか?」を入れいいかも。
    • そのような切っ掛けを、このアニメがつくり出していると思う。
  • NBさん: 
    • つくったところから、広げていく。
  • UKさん: 
    • アニメが可愛いから感情移入しやすい。
  • ひとさん: 
    • ことばを出す時は自分事にならないと出てこないから、感情移入しやすいのは大事。
    • 目線でも、キャラクターの気持ちになると、共感が出てくる。
  • ひるさん:
    • キャラクターが個性的で良い。
    • アフレコでことばを入れることで、アニメーションが有効に使われている。
    • キャラクターが可愛くて、上手なので感心した。
    • アニメーションの使い方として、面白い教材だ。
    • 切り絵はアップをつくりづらいのではなく、最初からそういうことを考えないようにつくる、平面の人形だ。
    • アップにしたければ、カメラが寄れば良い。そうでないと、大きくつくった部品を準備しなければならない。
    • 切り絵とアップはあまり結びつかないかも知れない。
    • つくる側がアップにしなくても、観客が見るときにアップにしてしまう、というのもあるのではないかと思った。
    • 紙芝居は観客がアップにしているのだろう。
    • 紙芝居は固定された絵だが、巧みな語りによって、その絵の中のどこを見るか。観客の眼がそこに寄っていく。芝居も同じだと思う。
    • しかし、なぜか映像になると、つくる側がアップにしないと、観客は満足しないらしい。
    • 以前、ライブの芝居をハイビジョンで、一番良い観客席にカメラを固定して、劇場で見ているように舞台全部が見えるように撮ったが、それを見たひとは満足しなかった。
    • 芝居を撮影し、劇場中継などのDVDも発売されているが、どういうところをアップにするのか?
    • 例えば、宝塚のファンが見る時、引きで見ていて、贔屓の演者を観たいと思った時、瞬時にアップに切り替わると、視聴者が演者の感覚と同期して、すごく満足するらしい。
    • 視聴者がアップにする演出で、感情を操作されているということにもなるが、画面が精細になっても、映像には「アップで見たい」という欲望は生じると聞いた。
    • ゲキ×シネ」のプロデューサーによると、視聴者が「見たい」と思うところでアップにするのが良い。
    • 「なにを見せたいか」=「観客が観たいもの」が同調すると、ずっと見てみたくなるらしい。
  • UKさん:
    • 日本語の文法に「は」と「が」の違いがある。日本語話者でないひとに、それを説明するのは難しい。
    • 直感的に人間の視点やモノの見方を反映していることを言いたくて、「は」と「が」の違いを説明を次のようにした:
      • 」は、引きで舞台の全体を見ている。
      • 」は、注目の機能があるから、全体の中で見つけたことにフォーカスを当てる。
    • こういうところに通じるところがあると思った。
  • ひるさん:
    • ある幼稚園のお遊戯会で、親がカメラを回すと、自分のこどもだけを撮るから止めてもらい、幼稚園が撮影したものを配ることにした。
    • 幼稚園は、誰かだけをアップにできないから、全員が映っているものを配ったが、全く評判が悪かった。
    • 親は「うちの子が写っているのを見たい」と、親が個々に撮影することに戻った。この話は参考になる。
    • 映像制作は、シナリオ、ことばで書くものから始めるのがセオリーになっている。
    • 企の採択はシナリオで決める。企画会議のシナリオ読み合わせで、出席者それぞれの頭の中にそれぞれの映像が浮かんでいるはず。
    • だから、頭の中に映像が思い浮かびやすいシナリオにする。役名も映像を想像しやすい名前にするそう。
    • それぞれが思い浮かべる映像で、企画がジャッジされる。
    • 映像をつくる側ははじめから、文字とことばとセリフとのイメージを頭の中で映像化している。ことばと切り離せない。
  • ひるさん:
    • 今日のために資料をいろいろと集めて、「動画映像の歴史は129年しかない」と、改めて思った。
    • まだ途中段階かも知れない。表現の形が変わっていく可能性もある。
    • VRがゴーグル装置がなしで、立体的、現実的に見えるようになると、映像表現も変わっていくな、と。
    • アップも、自動的にアップになる、「見たい」と思う感覚に合わせて映像が切り替わるような装置ができるかも知れない。
  • ひるさん:
    • 最近の画像生成AIは「ことば」で絵・画をつくる。
    • ChatGPTでも、つくり手の立場、仕事や役職、仕事の種類を最初にAIに教えると、映像の精度が上がるらしい。
    • AIが日常的に使えるようになると、ことばによって、生成されるものとの関係をちゃんと考えないといけない時代になると思った。
    • 曖昧なことばを入力すれば、曖昧にしか出てこない。
    • AIに理解してもらえることばを、どのように選ぶか。
    • 最近、AIで遊んでいる。プロットを5つ出してくれ、というと出してくる。
    • そのプロットに基づいた描いた絵を入れると、AIが修正した絵が出てくると期待していたら、「アドバイス」だけだ。
    • こちらが考えざるを得ないように、AIが進化している。AIとのやり取りが面白かった。
    • 時代的には面白い時代。ことばとの関係も面白い。楽しい時代だ。長生きして、云十年後の映像を見てみたい。
  • ひとさん:
    • 今回のように話しが発展すると面白い。少人数でも、みなさんの次のステップの参考になるような講習会にしたい。開催の間隔を開け過ぎないで続けていきたい。
    • 今回から有料化したが、それに値する形になるよう、次のテーマも提案ください。
    • 最後にひとことずつどうぞ。
  • NBさん:
    • 映画が129年でここまできて、今後どうなるのか、楽しみ。
    • AIへの指示の出し方の話があったが、自分がなにをしてほしいのかを、もっとはっきり言語化できるようにならないといけなくなっているのでは、と思った。
    • 人間同士ならば推測して伝わることを、対AIでは、はっきりと言語化しなければならないか、と思った。
  • ひとさん:
    • 機械に人間が合わせるということだろうか?
  • NBさん: 
    • それによって人間も違う風に進化していくかも。
  • ひとさん:
    • 高校生のワークショップではGoogle翻訳を使っている。音声入力し表示された翻訳文を画面共有すると、発話の翻訳がリアルタイムで見える。テキスト入力も画面共有すると、日本語で入力したテキストと中国語翻訳が同時に見られる。
    • 音声入力は、かなり正確に日本語を発音し、主語・述語を入れるなど補わないと、正確な翻訳にならない。
    • 中国語など開発途上の言語への翻訳では、機械が理解できるような日本語を入力しないと、不正確なこともある。
    • しかし、1年前と比べると、会話やテキスト入力が瞬時にドンドン翻訳されるように、進化している。
    • 中国の高校生たちは手元で機械翻訳をしているようだが、画面共有が面倒なのか、翻訳テキストを共有してくれない。
  • UKさん:
    • 今の話も興味深い。ChatGPTなどの人工知能が、コミュニケーションの橋渡しツールとして発展していく中で、「伝える」ということが大事になる。
    • なにを伝えたいをつかむ能力、端的に言う能力、そういう言語能力を鍛えるのが重要になるだろう。
    • 「ことば思考」だけより、「アニメ思考」、「映像思考」も使うと、もっとできることがあるのではないかと思った。
    • 伝えたいことをアップにしてみると、自分はこれが伝えたかったと認識でき、それをことばで再表現するような、往還をすると、アニメ的思考、言語的思考を鍛えられるのでは、と思った。
  • ひとさん:
    • 小学生とのワークショップでも、最初は頭でことばで考え、それをアニメで表現しても、最後に言語に戻ってくる。
    • ふりかえりで、ことばで表現することはやっているが、それだけでなく参加者の中で自然と往還が起きているのでは、と思うときが結構ある。
    • 参加者は映像で伝えようとするが、ことばで補っている。切り離して考えなくても良いのかも、と。
    • 映像というアウトプットは129年の歴史だが、人間は脳でイメージを常に連想し、脳内でずっと昔から映像と言語を自然と使っていた。
    • たまたま表現の仕方が文字であっただけで、映像という武器を手に入れた、わたしたち世代にとって、映像が人間の性に合った表現力だったのかも。
  • のんきさん:
    • ひるさんの講義だけでも実り多かったが、みなさんとの会話がすごく面白かった。
    • ことばがコミュニケーションツールとして発展し、映像のマインドに戻り、ことばと映像が行き来するのが。なるほどと思う。
    • アニメ制作段階でも必要なことと思った。
    • 教えている大学生たちは映像をつくりたいと、ビジョンが中心になる。物語をつくるところで言葉も大事だから、ことばを上手く使いながら物語をつくることを学んでほしい。
    • いろいろ相談したいことがでてきたら、よろしくお願いします。
  • なみさん:
    • 映像のつくり方が多様化している。ラスベガスで話題の球体アリーナ「Sphere(スフィア)」を見た。
    • 惜しまずお金をかけた360度映像のすごさに圧倒されたが、わたしは感動するまでに至らなかった。
    • それは、誰に向けてなにを伝えるかが明確でなく、映像自体は圧倒的に素晴らしかったのに響かなかったのかも、と、今日の話を聞いていて思った。
    • ひるさんの話では昔見た映画のことを思い出した。映画『ジョーズ』がなぜあんなに怖かったのか、視点のうまさだったのか、とか。
    • 『戦艦ポチョムキン』を見せていただいて、『アンタッチャブル』の乳母車が落ちていくところ、なにを言いたくて、ひとつのものにフォーカスして、アップするのか。時間の流れであったり、なにかの象徴だったり、映画の見方もこれから変わるな、面白いな、と思った。
    • UKさん、NBさんのお話もとても面白くて、勉強になりました。
    • 3つのモード(もの、ことば、からだ)の話が印象的。
    • 表現するとき、言いたいことを確認したり、どうすれば伝えられるか、というときに、モードを変えてみること、往還することが大事だなと思った。
    • そうすることで、身に着いたり、気づきがあったり、アニメをつくるというのもそういう工程。
    • NBさんの、アニメに日本語を付ける、というのもそうだな、と思った。
  • ひとさん:
    • 今日は勉強になった。来年も続いていく活動にしたい。みなさん、ありがとうございました。
  • 以上


  • 本講習会は、アニメーテッドラーニングの日本における普及促進を目的とし、一般社団法人アニメーテッドラーニングらぼの主催で実施されました。
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