- ワークショップでは、2023年7月29日午前11時~午後0時30分の間、東久留米市の落合川で川の水を調査しました。
- 調査した項目:
- パックテスト:COD(低濃度)、りん酸態りん(低濃度)、アンモニウム態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素
- 水温
- pH(水素イオン指数)
- 電気伝導率
- 調査した地点
- ワークショップ後に参加者が出してくれた質問に、川あそびの先生 はせさん、いでさんがお答えいます。
質問1 調査記録シートと調査した10か所をもう一度確認したいです。
- 7月29日の調査は10か所でおこないました。
- みなさんが調査した地点は5か所でしたが、川あそびの先生たちが調査した地点は5か所あります。
- 調査記録シートに調査地点すべての写真をつけました。
- 番号がついている地点で、みなさんが調査しました。番号がない地点は川あそびの先生たちが調査しました。
質問2 調査した10か所のどこが「湧水(わき水)」ですか?
- みなさんと川あそびした「落合川」は、すべて「湧水(わき水)」が地面から流れ出て川の水になったものです。
- 最初に調査した「いこいの水辺(クイと石で囲まれていた場所)」と、竹やぶや林の中で池になっていた「沢頭流(さがしらりゅう)」や「海老沢流(えびさわりゅう)」「神酒沢流(かみきざわりゅう)」の4地点は湧水地点(ゆうすいちてん)と言えます。
- 落合川はすべて地面から流れ出てきた湧水(わき水)が「川のもと」になっています。
質問3 調査の目的と結果数値が意味すること(どのくらいの数値だとふつう、とか)を知りたい。水温、pH、電気伝導率のことを教えてください。
- 今回の調査目的は、「水質を測りながら、川のはじまり(湧水、わき水)を探そう」でした。
- みなさんといっしょに調査した結果
- 水温
- わき出したての湧水(わき水)は、川の水よりも冷たいことがわかりました。
- 【「沢頭流(さがしらりゅう)」「海老沢流(えびさわりゅう)」「神酒沢流(かみきざわりゅう)」では17.8~18.7℃、川の水は20.6~24.5℃】
- 地下を流れる水(地下水)は気温の影響(えいきょう)を受けにくく、年間を通じてほぼ同じ温度です。夏はまわりの水よりも冷たく感じます。これは、みなさんが川に入って感じたし、調査の値でも確認できました。
- 水は地上に出て、川になってしまうと、流れながら気温の影響を受けて、水が温められることがわかります。たとえば、活動中も川の水は太陽光と外気温で温まっていました。
- 冬には気温が大きく低下するので、湧水の方が川の水よりも暖かくなることが予想できますね。
- pH(水素イオン指数 すいそいおんしすう)
- わき出したての湧水(わき水)では、川の水よりも酸性(さんせい)を示すことがわりました。
- 【沢頭流(さがしらりゅう)」「海老沢流(えびさわりゅう)」「神酒沢流(かみきざわりゅう)」ではpHが6.0~6.3、川の水は6.5~6.8】
- 「いこいの水辺」で、はせさんが息を吹きかけて水を混ぜると、酸性側(さんせいがわ)に変化した実験を覚えていますか?
- 降った雨が土の中にしみ込むことを浸透(しんとう)と言います。浸透して浅い場所にふくまれる地下水のpHは4~5程度の弱酸性(じゃくさんせい)を示します。
- これは雨が空気(大気)の中に含まれる二酸化炭素や、排気ガスが原因の物質の影響(えいきょう)を受けることに加え、土の中に含まれる微生物が作った二酸化炭素も浸透した雨水に溶け込みます。
- 長い時間をかけて地層中にふくまれる石の粒(つぶ)と反応すると、石からミネラル分(ナトリウムやカルシウムなど)がゆっくりと溶け出し、地下水が中性(ちゅうせい)にゆっくりと変化します。
- 二酸化炭素をふくんでいる湧水(わき水)ではpHが6.0~6.3、川の流れによって温められながらかき混ぜられると、二酸化炭素がぬけてpHが6.5~6.8と少し中性側(ちゅうせいがわ)に変化することが確認できました。
- 電気伝導率(でんきでんどうりつ)
- 今回の調査では、湧水(わき水)も川の水も、ほぼ同じ値であることがわかりました。
- 調査した10地点ではほぼ同じ値でした。わき出した湧水(地下水)のミネラル分は大きく変化せずに川となって流れていくことが確認できました。
- 雨が地面からしみこみ、長い時間をかけて地層中にふくまれる石の粒(つぶ)と反応すると、石からミネラル分(ナトリウムやカルシウムなど)がゆっくりととけ出し、電気伝導率(でんきでんどうりつ)が増加します。
- 調査した湧水・川の水では、20~22mS/mくらいの値でした。
- 海水は塩分をはじめとしたミネラル分がたっぷりとけていて(大量のイオンが存在する)、4,000mS/mくらいの値となります。
- 水が蒸発(じょうはつ)しても、塩分は蒸発して雲になりません。だから雨をなめても、しょっぱく感じません。
- 硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)
- 今回の調査では、湧水(わき水)のうち「沢頭流(さがしらりゅう)」で高いことがわりました。
- 雨が多くしみこむ畑では、作物を大きくするためにまいた肥料(ひりょう)の成分が地下水にとけこみます。
- したがって、硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)の値によって、雨水がどこを通って地下水となり流れてきたのかを予想できます。
- 窒素(ちっそ)はほかの湧水(わき水)と合流しながら下流に流れ、うすめられたり、栄養として植物に吸収(きゅうしゅう)されることで値が変化します。
質問4 今回、湧水(わき水)と川の水(表流水、ひょうりゅうすい)とでは、調査の数値に大きな差がなかったですが、もっと下流を調べたら、水質が悪くなったりしますか?
- 調査地点より下流側にも興味を持ってくれてうれしいです。
- 東久留米市は「かんきょう東久留米」という報告書で公表しています。
- 毎年、市内の河川でおこなっている水質調査や湧水の水質調査の結果が出ています。おとな向けに書かれているから少しむずかしいと思いますが、公式資料でも勉強するといいですね。
- 「かんきょう東久留米」は東久留米市のウェブサイトに掲載されています。
- 調査結果を集計するには時間がかかるため、最新の結果は令和3年(2021年)のものです。
- かんきょう東久留米>>
- 市内河川で実施している水質調査はp14~
- 湧水地点水質調査結果はp25~
- 「身近な水環境の全国一斉調査」という全国規模の調査も毎年1回おこなわれています。
- この調査は、全国水環境マップ実行委員会が呼びかけ、全国の市民団体などがおこなっています。
- この調査結果も公開されています。ただし、数値結果でなく地図に色付き点が記されています。
- 落合川の下流側、黒目川~新河岸川~荒川で水質がどう変わるかを確認してみましょう。
- 高度経済成長期と呼ばれる昭和30~40年代にかけて(半世紀くらい前)、落合川が合流する黒目川の水質が悪化して、都内ワースト10に常にランクインするような水質の川でしたが、流域の人びとの連携(れんけい)、熱心な活動によりきれいな水の流れが戻ってきました。
- BODやCODといった、水中の有機物(ゆうきぶつ)が微生物(びせいぶつ)の働きによって分解されるときに消費される酸素の量で水のよごれを調べる指標(しひょう)でみれば、落合川や黒目川などの上流側はきれいな(有機物が少ない)状態です。
- しかし、川の水が海へと注ぐ下流側では、まだ有機物が多い状態にあることが確認できます。
- BOD(河川)=生物化学的酸素要求量(せいぶつかがくてきさんそようきゅうりょう)>>
- COD(海水や湖沼)=化学的酸素要求量(かがくてきさんそようきゅうりょう)>>
- 水の循環を保ちながら、土地や川にすむあらゆる生物やヒトが暮らしやすい環境・街にするにはどうしたら良いか・・・いっしょに考えていきましょう!
東久留米・黒目川流域 水の会から、次の調査のお知らせ
- 今回のワークショップでは、地下水が湧きだす「湧水(わき水)」が川のはじまりであることを調べました。
- 日本には四季があり、季節によって雨水と川をつなぐ地下水の量や水質は絶えず変化しています。
- 「東久留米・黒目川流域 水の会」では、みなさんといっしょに調べたように、地下水の変化や川との関りについて定期的に調査をおこなっています。
- 2023年10月14日(土)には、「落合川水系で地下水と川とのつながりを探ってみよう」を開催し、今回と同じような調査や、いつもは入れない「沢頭流(さがしらりゅう)」奥の湧水(わき水)も見学する予定です。
- お知らせは東久留米市の広報や、NPO法人東久留米市文化協会HP(https://www.npo-h-bunka.org/)にも掲載され、9月15に(金)から申し込みできます。
- どうぞ参加してください♪
本ワークショップは、アニメーテッドラーニングの日本における普及促進を目的とし、一般社団法人アニメーテッドラーニングらぼが企画運営いたします。アニメーテッドラーニングの普及促進やその実践のためならば、弊法人の許可なくこのページのコピーや転載ができます。その際は出典(本サイトURL等)と下記のコピーライトを明記してください。
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